■ 室蘭の親子バイク死亡事故…「悪い夢なら覚めて」
【2010年9月8日(水)朝刊】


 釧路管内浜中町の国道で今月4日、ツーリング中の室蘭市高砂町の会社員、土屋友行さん(55)と二男で会社員、晶嗣さん(27)が軽乗用車と衝突し亡くなった。遺族や知人らは「どうして…」。突然の悲報に涙にくれる。2人は変わり果てた姿となって5日に帰宅。旅行から帰って来るその日だった。

 「お父さんへのプレゼント」。晶嗣さんが5月に「内緒でバイクを買う」と、妹のめぐみさん(24)に相談し購入した。家には1台のバイク(250cc)があったが、ツーリングは1人がバイク、もう1人は車で追い掛ける形だった。それでも稚内や帯広など道内各地を家族で回った。「これで2台でツーリングに行ける」。そういって心をときめかせた。

 16歳でバイクの免許を取得した友行さん。長男、歓嗣さん(29)の高校受験への「願掛け」で好きなバイクを一時やめたこともあったが、父の背中を見て晶嗣さんも自然とバイクにのめり込んだ。子供が大きくなったらツーリングしたい―。「その夢がかなった」と妻の京子さん(51)。

 友行さんと晶嗣さんは8月下旬から12年前に住んでいた釧路を巡り根室へのツーリングを企画。初めて2台で行く旅に気分は盛り上がった。新しいバイク(400cc)は、友行さんには大きいため晶嗣さんが、古いバイクは友行さんがまたがった。2人は4日早朝出発。いつも通り、近所に迷惑を掛けないよう大きな道路までバイクを押してエンジンを掛けた。

 厚岸署によると事故は、軽乗用車を運転していた女性(24)が対向車線をはみ出したとみて、事故の詳しい原因を調査。軽乗用車はフロントガラスがめちゃくちゃになり友行さんらは即死の状態。遺品の壊れたカメラからは、家族に見せるための釧路の風景写真がメモリーカードに何枚も保存されていた。

 職場で商品の管理や従業員に指導する立場にあった友行さん。「バイクは好きだと聞いていた。スピードを楽しむよりも景色や風を感じるのが好きだった。また障害者の雇用促進にも力を入れていた。大切な人を亡くした」と同僚は悲報に声を落とした。

 2人がよく通った登別のバイク店店長は「事故に遭う4〜5日前にバイクの部品などを買いに来て、とても楽しみにしている様子だった。まさかこんなことが起こるとは」。

 一瞬にして2人の命を奪った交通事故。遺族は「現場には絶対に行けない。加害者にも会いたくない。同じように交通事故で悲しみ、苦しむ人がでないでほしい」と、目を真っ赤に泣きはらし言葉を詰まらせた。2人の葬儀はきょう8日、市内で営まれる。

 「ただただつらい。悪い夢なら覚めてほしい。今にもお父さんと晶嗣に肩をたたかれそうな気がする」。母と妹の前では長男として気丈に振る舞っていたが、席を立つと歓嗣さんの目から大粒の涙がこぼれた。
(奥村憲史)




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