
室蘭工業大学大学院工学研究科の田畑昌祥特任教授の研究グループが、「耐熱光ファイバー用プラスチック樹脂」の開発に世界で初めて成功した。高温で使用される自動車用光通信ケーブルに応用することで、車体の軽量化を実現。燃費向上と炭酸ガスなどの排出量低減につながり、地球温暖化対策としても期待される。開発には関西の大手自動車部品製造業者が協力している。
従来のプラスチック光ファイバーの素材になる樹脂は、耐熱温度が100度以下のため、高温環境で使用する自動車用光通信ケーブルには使えなかった。田畑特任教授らは、繊維やペットボトルの素材である芳香族ポリエステルの分子構造を変化させ、耐熱温度を180度までアップ。併せて透明性を高めることで、光伝送能力も向上させた。
現在、自動車用の光通信ケーブルには耐熱性の高い銅線が使われている。これを開発した芳香族ポリエステル製プラスチック樹脂に変えることで、車体の軽量化に貢献できる。
このほか、光インターコネクション(コンピューター間、基板間などの光通信)、光電センサー(光による非接触センサー)、レンズなど耐熱性が要求される産業分野にも使用が可能だ。
また、患者の健康状態を管理する健康モニタリングスーツ、細菌検知センサーへの応用などによる、医療・介護、食品・衛生分野の低コスト化も検討している。すでに欧州から、健康モニタリングスーツへの使用で引き合いがあるという。
今後は原料の精製、ケーブル外側のクラッド材料の開発などで耐熱性、透明性の向上を進め、5年後の実用化を目指す。将来的には、海外に輸出可能な大量生産体制の構築も視野に入れている。
田畑特任教授は「自動車部品で唯一軽量化が遅れていた光通信ケーブルを軽くすることで、二酸化炭素削減、地球温暖化防止に貢献したい。市場は国内と全世界です」と意気込んでいる。
(山田晃司)
【写真=高耐熱の新型樹脂で製造した光ファイバー(上)、田畑昌祥特任教授(下)】
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