東日本フェリー(本社函館)の撤退問題で、室蘭市内の関係者に影響を懸念する声が出ている。経済、観光面への打撃に加え、PCB(ポリ塩化ビフェニール)廃棄物の海上輸送などリサイクルポート機能低下など、余波は政策面にも及ぶ可能性がある。
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同社は今年5月、国からPCBの海上輸送許可を全国で初めて受けたが、難しくなる見通し。JESCOの油井理所長は「情報収集に努めているが、対応は未定」と話す。
日鉄セメントは東北から農業用廃プラをフェリー輸送、サーマルリサイクルしている。東北分は「全処理量の7%程度」で、苫小牧港活用を視野に見直しの検討に着手した。
また、市は1月から、PCB輸送などでの活用を見込み入江地区臨港道路の新設工事に着手しており、来秋にはPCB輸送限定で暫定供用する運びだった。
フェリーターミナルから国道36号に接続する延長1・2キロの整備は5カ年計画で総事業費約12億円。高速道路から続く物流網構築や防災機能強化という整備目標は不変だが、前提だった一翼が失われるのは「痛手」(関係者)だ。
岸壁使用料やターミナルビルの今後を危ぐする指摘もある。現契約は17年度から21年度。「就航船がなくても契約が履行されるか」(関係者)。飲食業者が撤退したばかりのターミナルの行く末も見えない。 (鞠子理人)
◆――― 影響調査、市が着手
室蘭市は5日、東日本フェリー撤退の対応に追われた。港湾部は振興担当職員が総出で取引先などの影響調査に着手。市議会議員協議会が9日と17日に開催することが正式に決まった。
港湾部の中南仁生港湾部長ら幹部は取引先を回り、説明や情報収集に当たった。振興担当は朝から電話を握りしめ、取引先の取引額や雇用人数などの影響調査を急いだ。
室蘭市が大洗航路撤退決定時の平成13年に行った航路単独の経済効果は3億3000万円。平成15年の旧東日本フェリー破たん時に行った調査では、3航路合計で計5億円と試算している。
◆――― 交流事業の存続困難、頭を痛める室蘭市教委
東日本フェリーの室蘭―青森航路撤退の余波は、教育や旅行代理店など多方面に大きな影響を及ぼしている。特に、毎年恒例の「小学生・フェリーで結ばれるまちとの交流事業」(同事業実行委主催)はフェリー撤退で事業存続が困難となるため、室蘭市教委では頭を痛めている。
平成12年からスタートした事業。当初は室蘭―八戸航路で進めていたが、18年3月の同航路休止に伴い訪問先を青森に変更。本年度は小学6年生50人が参加して7月29日から2泊3日で三内丸山遺跡などを見学、現地の小学生とも交流を深めた。
事務局の室蘭市教委では「児童同士の交流も深まり、何とか続けていきたい」と状況を見極めている。ただ、フェリーの撤退が決まれば事業は廃止となる公算が大きいだけに、代替事業の検討など、早急な対応が求められそうだ。
小学校ばかりではなく、北辰中学校(下谷陽久校長)でも平成16年度から3年間、修学旅行にフェリーを活用。市教委主催の「港・ふるさと体験学習」にも平成7年から10年間にわたって学習に役立てていた。
一方、各旅行代理店では青蘭航路を利用した商品がほとんどないため、「影響は最小限にとどまる」との見方が大勢。それでも、団体客を多く取り扱う代理店では「影響がどこまで波及するか分からない」と不安視する声も聞かれる。各社とも「今後の動きを見守っていきたい」と話している。 (佐藤重伸、野村英史、横山郁美)
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